病気や障がいのある人が働くこととダイバーシティ
外資系企業ならではの多様性・ダイバーシティに関する成熟
日本企業だとやはり、そういった受け入れる側も心構えができておらず、まだそこまで至ってないという会社が結構多いかなという印象があるんですが、HIVにかかわらず、他の、例えば聴覚障害とか視覚障害とかという方もうちの会社(外資系)はいっぱいいるんです。なので、そのうちの本当に一つという感じで見てくれているので。そういった意味ではすごく大人な会社です。手伝えることは会社としてやるけれども、それ以上に過保護にはすることはないし、やれる仕事はちゃんとやってもらいますよというような感じでいるので、逆にそれは楽ですよね、私としては。(男性・50歳代)
ダイバーシティということを職場内で知らせアピールしたいという流れ
上司は障害者雇用に熱心だったので、ちゃんと受け入れさせたいという意識が高かったんです。外資系の会社でしたし。そのまた上の立場の方も、ダイバーシティとしてそれは日本もやるべきだ、っていう意識が高かった。それはいい流れかな、という部分もあって、体当たりしてしまいました。(そうしたら、その上司の人だけが突出してる、っていう感じですか?)そうなんです。やはり全体にというのは難しい話で。初めの一歩としては、多少は何かしらの力になったかなとは思うんですけど、そんな一気にダイバーシティって、みんながみんな受け入れられるという時代ではなかったと思っています、10年前は。(女性)
障害者雇用のポイントがほしいだけの企業もある
要は障害者のポイントが欲しかったんです、私が入った企業は。その会社はある業界の専門だったのですが、新規事業で障害者雇用の新規開拓を始めるというのに、その事務所自体はバリアフリーではありませんでした。社長に「車椅子など使用する身体障害者の面接はどこで行うのですか?」と尋ねたら、「近くのどっか喫茶店かホテルでも」と言われて。「これは絶対おかしいぞ」とか思いながら働き始めました。しばらくすると、会社創業当時から働き始めた従業員が毎月辞めて行く。僕の目から見ても従業員に対して経営者のパワハラとかが凄かったからだと思います。これは様子が変だ、私の雇用に対する就業環境も整われず障害者雇用に対する扱いもちょっと変だ、っていう感じが湧いてきました。その後、労働基準監督署に少し相談しに行きましたが、まるで話は通じない。ハロワの雇用指導官に相談し会社訪問をお願いして視察していただいたところ、「企業の改善は見通しがないようなので、早く退職した方が良いと思います」と後日、話を伺いました。(男性・40歳代)
障害者枠での就職では職場によっては給料が増えづらい給料体系の場合がある
給料が上がらない(笑)。はじめから給与設定が低くて、さらに上がらないから、すごく辛い。結婚などを考えると厳しいので、そういう人が辞めていくところがあります。発達障害など先天性の障害のある人は、障害年金もあったりとか、自宅から通えていたりして、長くいられている。同僚とはいつもその相談で「居心地はいいけどどうする?このままいくと、お金が増えない、辛いよね」と言っていて、「転職する?どうする?」という話をよくしていたりします。
給与体系が、前の会社は、一般と一緒でした。障害者だからという区別はなくて。今の職場は、障害者だけ給与体系や評価基準が違う。違うので、私達は頑張っても、一般の評価の方にはなかなか入れない。けれども、見た目からは障害はわかりにくくて、病気や怪我などをしなければ普通に働けるから、そうなると一般社員との区別がつきにくいので、バランスがちょっととりにくい。(女性)
特別な配慮が必要ない障害者ということで都合よく使われるリスク
障害者雇用の問題として、企業は雇用した人が定着するかしないかが課題なんです。採用者にすぐに辞められてしまうと困るとか、精神障害者だと認定が更新しないと障害者雇用のポイントが消えてしまったら雇い入れをまた募集しなければいけないから困るとか、その点で企業ってすごく苦労するんだけど、僕ら(HIV陽性者)で障害者認定された人だと、ある程度は、環境や仕事内容に問題はないと思います。別に、実際に補助具を使用する場合が無い障害状態ならバリアフリーでなくてもいいし、定期的な通院以外に特別な配慮が本当に必要としないじゃないですか。そうすると、逆に企業としては、問題なく使いやすいから利用されてしまう人達もいる。特例子会社なんか入れられると、結局障害者達のリーダーかなんかにさせられて…。(男性・40歳代)
障害者をすべて一緒にしないで個別性を考えてほしい
受け入れる姿勢はすごく難しいです。求めているものがみんな違うから。私の場合は、環境より、時間体調を配慮して欲しいとか、かった。求める部分が個別で違うから、企業がこうするべきだと逆に言っちゃうと、企業ってそれを上に言われれば上に言われるほど、そうやって固まっていくから、あんまり私はそこを言いたくない感じがしています。「配慮要らないですよ」と自分も一時期言っていたあの頃、逆に「配慮要らないですよ」と言うことで、私は調子崩した時に、ダメージが分かってもらえない状況にもあったので、あまりそこも強調して欲しくないな、と思います。障害者雇用は、常に、個別に考えるべき、と思っています。どんな障害でも。(女性)
HIVに対する企業側のイメージの悪さ
ハローワークの合同面接会で、仕事は見つかりました。(障害者向けの職業)訓練校はしっかりしているから、そこに通っている人はみんなで一緒に行きましょうってサポートしてもらえるんです。だからみんなで行けば怖くないみたいな感じでした。ただ、私の場合は、扱われ方が良くなくって、みんな結構すぐに決まるのに、なかなか話が進まない。。「免疫機能障害ってどういうのですか」って聞かれたりとかして、不採用も続いてしまいましたね、初めの頃。同じ時に勉強して、資格も同じかそれ以上に取得していたので、原因がHIVだというのがはっきり分かる時期で。その時には先生の前で泣いたりとかしました。(女性)
HIV陽性者を受け入れようと企業側が勉強しているとわかる
面接のときでも、例えば「CD4は今いくつですか」とか「薬は何を飲んでますか」とかを聞いてくるので、「あ、知ってるんだ、そういうこととか」と思って。「副作用は大丈夫ですかとか」ということを聞いてくれるだけでも、分かってらっしゃる方がいるんだっていうので、なんかちょっとホッとするという印象はありました。(男性・50歳代)
HIV陽性者を受け入れた側が経験的に持ってしまうイメージ
実際、営業で人事の人に会って、HIV雇用したことある人の話も聞いたのですが、僕らの病気って、その受け入れた人によって結構イメージづけされてしまう場合が多いんです。雇い入れて「失敗したな」とか思ってしまう企業の人事の人もいました。その企業の担当者も「その人個人の人間性の問題だと思うんですけど、あまりにもひどかったから、ちょっと遠慮したいです、免疫の人は」とか申し訳なさそうに話されていました。ですから、そういった点も考慮して採用する企業の方も、障害種別に拘らず人をちゃんと想像して見抜く必要があると思います。採用される側も、それ相応に入社しておかしいと思ったことはしっかり企業の担当者に伝える。今後は最初の契約の時、はっきり就業規則や環境、仕事内容を確認することを自分もする必要があり、企業側も法定雇用率のためにだけ雇い入れるわけではなくしっかりとその点を示してくれないといけないかな、とか思っています。(男性・40歳代)
HIV陽性者を受け入れた経験があるとすんなりといく
で、おそらくなんですが、これは自分の想像なんですが、おそらく私より前に就職されてる方も同じ病気で、いらっしゃるようです。だから慣れているようで、担当者と私と話してる中で、すれ違うことはそんなにありません。(男性・50歳代)