病気や障がいがある人を受け入れる~就職活動から就業まで~
受け入れてくれそうな企業をどう判断するのか
ダイバーシティを掲げているところと、女性雇用率が高いところなどです。あまり外したくないので、自分の経歴が活かせそうなところ、という感じの絞り込みもあったと思います。(女性)
就職活動の面接から決定まで
面接官の方も障害がある方だったので「免疫の人だけ採用されないのはおかしいね」という考えを持ってたんです。「僕は採用したいと思う」ということを思ってくれたようです。で、会社に持ち帰って会社の人に話してみたけど、やはり「どうしてうちがそれをしなきゃいけないの?」という感じはあったみたいです。でも、たくさん話をしてくれて、それで決まった。だから、採用が決まるまでに1ヶ月くらいかかった。「確定するのが遅くなって本当すみませんでした」みたいなことを言ってくれました。だから、会社にはそういう風に理解を得てるから、(病気であることを)オープンにして欲しいということを言われました。そういった啓発というのは大事だという感じの意識の高い方でありがたかったです。(女性)
病気によって外見が変わることと就職活動
今、去年の夏前からずっと顔の皮膚のコンディションが悪い状態が続いています。HIV治療服薬開始時から皮膚科も併せてダブルで通ってるんですが、それが一向に良くならない。就職といったら面接時に、どうしても結局、人事の人に顔を見られるでしょう。今日はあまりひどくないですけど、鼻の上に膿とか出ちゃう場合があるんで、そういう状態で就職面接っていうのは、やはり企業人事の面接官に第一印象が良くない、それに自分自身も気にしてしまう方ですから。そこら辺を考え、自分のコンディション良くなってからと就活は考えています。今更じたばたしても仕方ないじゃん、みたいな感じです。(男性・40歳代)
職場内でどこまで病気について公表するのかも職場選びの判断基準
普通の就職説明会で、そこに普通の就職ではない障害者として病気に対してどこまで公表するのかとかという感じで、会社によっては全員に公表しますとか、そこはご相談しますとか。そういうような感じですよね。(その伝える伝え方も、一つの企業決めの判断に選ぶ側としては)なると思います。言いたくない人ももちろんいるでしょうし、ああ、自分は全然オーケーですっていう人もいるでしょうし、そこはやっぱり決め手の一つにはなると思います。(どこの企業も基本的にそこは説明するわけですね?)はい、そうですね。そこはこちらとしても聞きたいところではあるので。(男性・50歳代)
人事部の言っていることと実際の職場は異なる場合には自分で職場環境を作る
結局、いくらすごく良いようなことを言われても、実際現場は違うじゃないですか。人事部と現場は違うんで、そこはもう出たとこ勝負です。あとは自分がどういう心持ちでいくかです。自分は何を言われても絶対言わないとか。あとは適当に茶化して済ますとか。その辺はもう自分次第だと思います。自分がどうやって行くかということ、いかに自分が働きやすい職場環境を自分で作っていくかということがやはり重要だと思います。(男性・50歳代)
就職活動をしても実際に入ってみないとわからない点が多い
入ってみないとわからないです。面接でいかにその辺をすり合わせするかです。面接の時点で。人事部の話ではなくて、実際に自分がつく、所属する部署、現場の雰囲気とか、現場でどこまで告知するのかっていうこととか、そういう現場レベルで、どのぐらいの知識があるのか、もし知識がなかったら、例えばそういう勉強会をしたらどういう反応が出るのかとか、そういったこともちょっと確認するといいかもしれないです。(男性・50歳代)
一般就労するとき考え、気にした「HIV=同性愛者」
HIV陽性とわかった2年後、独立をしたいと思い描いていた欲も出てきて、アルバイトをしながらフリーランスの仕事も始めていました。もちろん陽性者としての自分がいるわけで、アルバイト・フリーランスの道に走ったことには理由があります。それは「HIVであることを悟られないか」ということ。
地方に住んでいて、Facebookなども活用するようになり、人の繋がりがネットを通じてわかるようになったことで、就労する際に病気であることを打ち明けてその情報が独り歩きしないか?とか、障がい者であることで社内に漏洩しないかとか。発覚当初は気が気じゃなく過ごしていましたが、投薬して病院に通って、血液検査の結果が徐々に良好になるにつれて、HIVとうまく付き合っていけることを自覚し始めたころではあったんですが、人の目、人に対する信頼という点においてはまだまだ信用できないというか、「怖かった」という気持ちが強くありました。何が怖いかって、同性愛者であることを大っぴらにカミングアウトして生活していたわけでもなく、「HIV=同性愛者」の認識が多いという周知の事実への恐れでした。平然とカミングアウトして生活できるくらいの気持ちがあればいいのだろうけど自分にはできませんでした。人と接点を持たなければ仕事なんてできませんが、関わる人が少ない環境に自らの身をおいて、気持ちのコントロールに費やした時期でもあったのかな?と今振り返ってみれば思うところです。(男性・30歳代)
自営業とHIV陽性
先行きのことを考えて、時間が不規則でハードな自営の仕事を、普通の人が定年退職するまでと同じようにずっと続けるの?それを思うと自分の体が壊れると思いました。HIVとかエイズのことよりも、そっちの仕事関係の方が気になっていて治療に専念出来ない。だからHIVの人で自営の人は、すごくその事で悩んじゃうのが難点です。自営をずっと長く続けていた人は、ある程度年齢が結構重ねているから、50歳過ぎると転職が難しくなる。あと、企業が採用に求めるのはどうしても若年層が多いですから、障害者雇用でも同じと言えます。だから年齢層が結構上の人で、エイズが発症して転職を考えるとかいう場合、すごく困難な状況が実際にあることは想像以上ですね。(男性・40歳代)
就職活動と子ども
子どもを守るためにはどちらがいいかなって考えたら、やはり病気を隠して働いた方が気持ちは楽なんですけど、自分に何かあった時、具合が悪くなった時などには、配慮が無いと少しきついというのがあって。(障害者のための職業)訓練校に半年くらいいたんです。半年悩んで、じゃあ、このまま障害者枠っていうので良く分からないけど就職活動してみよう、と思ってチャレンジしました。100社受けて駄目だったらやめようと思っていました。100社には至らず、20社ぐらい面接を受けてるうちに決まりました。(女性・40歳代)
辞めたければ辞める、というのも選択肢のひとつ
私は、「辞めたければ辞めちゃえば」って言う主義です。うだうだ仕事上のことや環境について思っているのなら辞めればいいじゃないとか。みんな、どうしてもうだうだ言いたい気持ちは僕なりに理解します。そういったことで本人が消化出来てればいいんですが。我慢のし過ぎでストレスをいっぱいため込むようだったら、思い切って早い内に辞めた方がいいと思います。もし年齢が若いのなら、早く自分で見極めて切り替えをしていった方が、仕事の選択肢は多い。その点、年齢層が上の人だと選択肢が狭くなってしまう状態で、結構必死になってしまうこともありますね。(男性・40歳代)