職場の関係者の皆さん向け6つのYes/No:HIV陽性者編
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就労しているHIV陽性者はきわめて少ない?
- 回答
- No
- ―解説―
- 多くのHIV陽性者の方が就労しています。Futures Japanが2016-2017年に実施したウェブ調査では、日本のHIV陽性者のうち86.2%が何らかの仕事をしていました。大多数が仕事をしていることがわかります。できれば就労や社会参加をしたい・・・それが、HIV陽性者の基本的な考えだと言えるでしょう。そのためには職場の皆さんの理解が不可欠です。
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多くのHIV陽性者が職場では病名を知らせていない?
- 回答
- Yes
- ―解説―
- 職場で同僚や上司などに病名を明かしている人は、それほど多いわけではありません。実際、Futures Japanが2016-2017年に実施したウェブ調査では、職場の同僚に知らせている人は12.7%、職場の上司に知らせている人は19.9%、人事担当者に知らせている人は11.4%でした。安心して働くために必要な人・限られた人のみに伝えている状況にあるといえます。もちろん、誰にも伝えないという選択肢もありますから、「職場にはHIV陽性者は誰もいない」と思っているのは、実はあなたの勘違いかもしれません。伝える・伝えないは、ご本人の意思が尊重されるべきことです。
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抗HIV薬による治療は進歩し寿命は一般の人と変わらなくなっている?
- 回答
- Yes
- ―解説―
- その通りです。現在では治療が進歩しており、HIV感染していても、1~3か月に一度、医療機関を受診し、医師の診察と血液検査をHIVの薬の処方を受ければ、あとは1日1~2回ほどの服薬によって健康な人とほとんど変わらない健康な生活を送ることができ、一般の人とほぼ変わらない寿命になってきているとされます。単に寿命が延びているというのではなく、健康寿命もほとんど同じになってきてます。
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障がい者など多様な人たちと一緒に働くことは組織の活性化につながる?
- 回答
- Yes
- ―解説―
- 性別や年齢層、国籍、性的指向が多様であったり、病気や障がいのある人も勤務していたり、在宅勤務や時短など柔軟な働き方を推進したりする職場での取り組みは、現在多くの企業で進められています。「ダイバーシティ」とも呼ばれるこの動きは、職場環境をよくするだけでなく、優秀な人材を確保することにつながり、さらには多様な人材・視点があることでサービスや商品の向上をめざすことができるとされます。そして、一般に、多様な人たちと一緒に働くことは、組織の活性化をもたらす経営戦略と位置付けられるようになってきています。障害者枠の活用も、そういった意味でも重要と考えられています。
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HIV陽性者では急に体調が悪くなる場合や合併症になる場合もあり、そうしたときに職場での配慮が必要となる?
- 回答
- Yes
- ―解説―
- HIV陽性者に限らず、慢性疾患のある人や障がいのある人の場合誰しも、いつ急に体調が悪くなるかわからないものです。場合によっては入院が必要になるかもしれません。そうした場合に、患者を解雇したりするのではなく、治療と仕事を両立させていく支援をしていくというのが、雇用主のあるべき姿といえるでしょう。それは、超高齢化時代における働き方として、働きにくさを抱えた人でも活躍してもらうというダイバーシティマネジメントの考え方にも一致します。HIV陽性者での体調不良は、多くの場合一時的であり、回復する見込みが高いということを念頭に置きましょう。ただし、本人がどうしたいのか、働くことを希望しているかどうかを聞いてみる必要もあります。もしもわからない点や悩んでいる点があれば、医療機関やNGOなどに相談することもできます。
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HIV陽性であることに関連した情報の漏えいを不安に思っているHIV陽性者は少ない?
- 回答
- No
- ―解説―
- HIV陽性であることを周囲に知られたくないと思っているHIV陽性者はとても多いものです。Futures Japanが2016-2017年に実施したウェブ調査では、HIV陽性であることを雇い主や上司に知られると食を失うと思っている人が63.6%をしめており、多くが情報の漏えいを不安に思っている状況にありました。もちろん、事業者はすべて個人情報保護法の適用対象となっており、「生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別することができるもの」が個人情報とされ、病歴や心身の機能の障がいに関連する情報も要配慮個人情報とされ、本人の同意を得ず取得することも禁止されています。HIV陽性であることも個人情報であり、きわめて重要な情報です。職場でのHIV感染リスクはありませんから、もしもあなたが職務上で知り得たとしても、守秘義務があります。